2008年11月7日にジャスダック上場した株式会社アサカ理研（取締役 管理本部長 鈴木氏）の上場体験談がジャスダックのHPに掲載されています。
（メールマガジン「ＪＡＳＤＡＱ ＩＰＯ ＷＡＶＥ」としても配信されています）
JASDAQ上場を達成した会社の体験談 株式会社アサカ理研 取締役管理本部長 鈴木 忍 殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken5724.jsp
以下、一部のみ引用です（注：下線は私が付しました）。
| 年明け早々に審査資料に対し、百問を超える質問が主幹事証券会社の引受審査部よりメールで届きました。回答書の提出期限は3週間。メンバー7名全員で役割分担し事業部にも協力を仰ぎながら一週間前の完成を目標として設定し回答書の作成に励みました。回答案ができると全員で集まって読み合わせを行い、意見を出し合いながら纏めていくという作業を繰り返し、その後2ヶ月間で数百の回答書を提出しました。事前に聞いてはいたものの、内容の細かさもさることながら、とにかく数の多さは聞きしに勝るものがありました。・・・・・・ （中略） ・・・この経験は後の2008年夏に始まったJASDAQの審査においても大いに役立つことになりました。JASDAQの上場審査部からの最初の質問は上場申請から一週間後。質問数は細目を含めると百数十問で回答期限は一週間。第2回目以降も毎回一週間という単位での質疑応答が続きました。当社は回答書を期日2日前には仕上げ、全て期限内に提出することができました。この対応力も当社の開示体制を問う審査の一部。主幹事証券会社の引受審査の経験無くしては、これだけの短時間に適切な回答書を作成することはできなかったと思います。 |
上場審査での質問対応が質・量ともにとても大変だったことを語られております。
その中で、ただ「主幹事証券の審査が大変だった」というだけではなく、「それを経験したお陰で取引所の審査を滞りなく受けることができた」と結んでおられ立派だと思います（お立場的にかなりの苦労をされたご本人だと思います）。
「この対応力も当社の開示体制を問う審査の一部。」
このフレーズも注目だと思います。ここでは証券取引所の審査について言われていますが、主幹事証券審査においても、会社の開示体制など「会社全体としての実力（対応力）」を見極めようとしています（私も短い期間ですが、証券会社の引受審査部門で自ら審査業務をしておりましたので）。
まず、審査質問の書面のやり取りによって、約束の期日までに適切な内容の回答書を作れるかどうかという「表面的な対応力」がわかります。それに加えて、審査ヒアリングにおいて何度か対面でやり取りをすると、説明内容の整合性・一貫性などから漠然とですが会社の管理体制についての実力（底力）のようなものがわかってきます。
上場会社になれば、四半期ごとの決算発表だけでなく、各種の開示・ＩＲなどを間違いなく、かつ、タイムリーに行っていく必要がありますので、上場審査においても「この会社は上場会社として相応しい管理体制が構築できているかどうか（開示の不備などで投資家に迷惑をかけるような会社ではないか）」について注視しています。
この管理部門の対応力については、絶対的な評価基準があるわけでもなく、あくまで相対的なものなのでしょうが、対応力が本当に足りていない会社は、審査の過程において財務諸表や「?の部」の間違いがどんどん出てきたり、株主総会や取締役会の決議において会社法上の瑕疵が出てきたりして、結果的に審査ＮＧになってしまっているように思われます。
私は今は、上場コンサルタントとしての仕事をしておりますので、スムースに上場審査に臨めるよう、管理体制づくりや各種の申請書類作成のお手伝いをしています。
（「管理体制づくり」は一朝一夕にはできるものでありません。少しでも効率的に、余計な遠回りをせずに取り組んで頂きたいと思っています。といっても実際にコンサルのご要請を頂くことが多いのは、「遅れの挽回」ですので、どうしても慌しいお仕事が多いです・・・・）
上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
（ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも）
ジャスダック証券取引所は、精力的に上場体験談を公開・更新されておりとても良い取組みだと思います。
（その他の取引所はこのような取組みはほぼ皆無でしょうか。ヘラクレスが頻度は少ないですがメールマガジンで体験談を配信している程度かと思います。）
ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp
