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(参考書籍)計算書類作成 うっかりミスの防ぎ方

会社法「計算書類」の作成にあたって、生じがちな「うっかりミス」の防ぎ方にスポットライトをあてた、ちょっと異色の書籍を見つけましたのでご紹介しておきます。
(久々の「IPO参考書籍」カテゴリです)

パターン別計算書類作成 うっかりミスの防ぎ方

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著者(独立されている会計士)のこれまでの経験から、うっかりミスを以下の5類型に分類し、発生原因や対応方法についての説明がされています。
・リサイクルミス(前期データの使いまわしから発生するミス)
・コーディネートミス(各書類間の整合性がとれていないミス)
・アップデート・ミス(決算の数字に修正・変更が生じたにもかかわらず、書類の内容が更新されないミス)
・ファーストタイム・ミス(新しい会計基準への対応や新規の取引に関連して発生するミス)
・フルコピー・ミス(標準文例や他社事例を丸写しすることから起こるミス)
・本当のうっかりミス

私も仕事柄、計算書類の作成支援やチェックを行うことがありますが、本書に記載されているようなミスは本当によく起こっています。
特に、少人数でバタバタしながら決算を締めているベンチャー企業においては、この手の話がとてもありがちです。
(社歴があり、相応にシステム対応やチェック体制が出来ている業務がこなれている大企業においてはあまり生じないかもしれません)

本書を読めば、うっかりミスを撲滅できるかというと、残念ながらそこまでの特殊効果は期待できません。
が、どのような理由でミスが起きるかや、その発生確率を低減させるためにはどういう対策が効果的かなどを整理して考えるためには有益な面はあると思います。
実務では一般的に行われている「前年度の書類の使いまわし」や「他社事例丸写し」の危なさや、必ずしも「作業の複数人分担」が良いとは限らないということなど、改めて考えされられることもありました。
また、本書は、計算書類(会社法)に絞った書籍ですが、考え方自体は、有価証券報告書(?の部)の作成時にもまったく同じことがあてはまります。
興味ある方はぜひどうぞ。

【参考記事】
 IPO参考書籍(目次)