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「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」の進捗状況について (日本証券業協会)

日本証券業協会より、新興市場等の信頼性回復・活性化策に係る協議会の活動状況が公表されています。

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」の進捗状況について(日証協HP)

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」平成24年5月22日更新版(日証協HP)

昨年6月に公表された「工程表」について、約1年の進捗状況を項目別に記載しています。 

主なものを以下にまとめました。

11年6月工程表12年5月進捗状況
日証協は、24年3月までを目途に、グリーンシートの役割・あり方について、(中略)、抜本的な見直しを行う。(日本証券業協会)
・ 平成23 年9月、「グリーンシート銘柄制度の検討に係る懇談会」を設置。同懇談会を同24 年3月までに6回開催し、同制度の役割・あり方について、抜本的な見直しを行うべく検討を行った。同年6月までに第7回目を開催し、報告書を取りまとめる予定

【 補足コメント 】
来月にも「グリーンシートの抜本的見直し」について報告がでるということですので注目していたいと思います。
日証協は、23年9月までを目途に、会計士協会の協力会を得て「連絡会」設置し、(中略)、有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有を図るための意見交換を進める。(日本証券業協会)
・ 平成23 年12 月、証券会社、証券取引所及び日本公認会計士協会をメンバーとした「有価証券報告書等の虚偽記載に関する情報共有のための連絡会」を設置。同年12 月27 日、第1回目を開催し、意見交換を行った。 
・ また、平成24 年3月1日に第2回目を開催し、金融庁より「市場の免疫力を高めるために」という演目で講演頂き、意見交換を行った。
日証協は、24年3月までを目途に、上場準備に向けた必要な準備事項の概要(参考モデル)を策定する。
合せて、日証協及び取引所において、同準備事項の概要(参考モデル)及び上場審査スケジュールの概要(参考モデル)について、それぞれのホームページ等により周知を行う。
(日本証券業協会)
・ 平成23 年11 月、「会員における引受けのあり方に関する検討会」の下部機関として引受審査担当者により構成した「引受審査分科会」を設置。同年12 月26 日に第1回会合を開催。以後、公開指導担当者を交え、参考モデルの策定の検討を行い、上場準備会社における参考に資するよう「上場指導及び引受審査について」を取りまとめ、同24 年5月15 日に日証協ホームページに公表するとともに会員への通知を行った。

【 補足コメント 】
「上場指導及び引受審査について」は以下から確認できます。
(「
上場指導及び引受審査について」(日証協HP)
ただし、残念なことに、「上場準備会社における参考に資する内容」とは思えません。
大雑把なスケジュールや審査項目が書かれているだけですので、これが公表されたことによってIPO準備会社が喜ぶということはなさそうです(取引所の手引き等で触れられている内容です)。
末尾の「証券会社との間で十分なコミュニケーションを図られることをおすすめいたします」はその通りで、よいアドバイスですが・・・・。

・「遡及的監査」では、監査範囲の制約により「無限定適正意見」以外の意見が付される可能性があることから、上場準備会社において、事前に社内管理体制の整備が進められるよう会計士協会、監査法人において、平成23年3月までを目途に、上場に向けた必要な準備事項(監査スケジュールの概要を含めた参考モデル)等を整理する。日本公認会計士協会
・ 平成23 年10 月より、監査・保証実務委員会にて検討を開始し、検討の成果を、同24 年4月に、「新規上場のための事前準備ガイドブック(ガイドブック)」として取りまとめ、公表した。ガイドブックは、ホームページ上にPDFファイルを掲載したほか、製本化も行い、当該冊子は無料で配布している。今後、関係者の協力を得て、会計・監査ジャーナルに掲載する座談会の記事や研修会等により周知を図る予定。

【 補足コメント 】
これが、4月に本Blogでご紹介したガイドブックです(以下記事ご参照)。
新規上場のための事前準備ガイドブック (公認会計士協会)(12/04/14)
・現状、直前々期が「限定付適正意見」での上場が非常に少なく、「無限定適正意見」でないと上場承認が得にくいといった誤解が多いと考えられることから、取引所において、23年12月までを目途に、直前々期の「限定付適正意見」が許容可能であることの周知を図る。東京証券取引所
・ 平成23 年12 月26 日、本則市場(市場第一部、第二部)及びマザーズ向けに、「新規上場の手引き」及び「マザーズ上場の手引き」を改訂して、直前々期の「限定付適正意見」が許容可能であることの周知を図った。あわせて、上場準備会社向けのセミナー等で当該内容の周知を行っている。

大阪証券取引所
直前々期の「限定付適正意見」が許容可能である旨を、平成23 年12 月発刊の「上場ハンドブック」に記載

各取引所において、24年3月までを目途に、新興市場の位置づけについて検討を行い、その明確化を図るため、(中略)、必要な措置を講じる。名古屋証券取引所
セントレックスの位置付けの明確化を図るため、上場市場の変更手続きの見直し、業績に係る上場廃止基準の新設等を実施(平成24 年4月)

福岡証券取引所
・ Q−Boardの位置付けについて、成長可能性を有する企業を対象とし、その育成を支援する市場であることを改めて鮮明にする措置を講じるとともに、Q−Boardから本則市場への市場変更を容易にするための対応を行った。また、上場後3年経過するごとに、事業の現状等の報告書類の提出について義務付けを行った。併せて、上場後に業績の低迷が続く企業を退出させる新たな上場廃止基準を新設した(平成24 年5月)。

札幌証券取引所
・ 平成24 年3月22 日にアンビシャス市場コンセプトの明確化を含む「アンビシャスの信頼性向上及び活性化のための上場制度の整備等について」の制度要綱案を公表、同年6月1 日を目途に施行予定。
【 補足コメント 】
このあたりはすっかりノーマークでした。いくつかの制度変更が行われているようです。


「新興市場の信頼性回復・活性化」に向けて、各種関係者が一丸となって取り組もうとしている点は、素直に評価したいと思います。この続きにも期待いたします。


【参考過去記事】

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」が公表されています(11/06/24)

日証協「新興市場等の信頼性回復・活性化策に係る協議会」の検討状況(11/05/23)