successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

唖然! 上場後半年で粉飾疑惑による強制捜査(エフオーアイ)

昨年11月にマザーズ上場したばかりのエフオーアイが大変なことになっています(久しぶりの長文記事です)。

粉飾か、半導体装置メーカーを強制調査  TBS News-i - ?2010年5月11日?
http://www.youtube.com/watch?v=_SQnM_0dAzs


東証はこれを受けて、「開示注意銘柄」に指定しています。
http://www.tse.or.jp/listing/kaiji/index.html


以下は、毎日.jpからの引用です。
虚偽記載:半導体装置メーカー、上場前に「水増し」か  (毎日.jp)

 公表資料で同社は、10年3月期の売上高見通しを約130億円としており、08年3月期の約94億円や09年3月期の約118億円から大幅に増加させたが、大半が架空の売り上げとみられる。

 同社は上場時、大株主の株売却を180日間制限する「ロックアップ条項」を設定。今月半ばに期限切れとなることから、監視委は、大株主の株放出で一般投資家への被害拡大を防ぐため、上場からわずか半年という異例の早さでの強制調査に踏み切った。


このような報道も出ています。
上場時の粉飾決算、幹部認める 相模原の半導体製造メーカー (47news)

 複数の幹部が証取委に対し、容疑内容をほぼ認め、約118億円としていた売上高について「実際は2億円程度だった」などと説明したことが13日、市場関係者の話で分かった。
  (中略)
 市場関係者によると、同社は上場前に出資ファンドからの出資金をいったん簿外に移した後、製品を売り回収した金として計上する手口で売上高を水増ししていたという。こうした手口は複数の幹部による会議で決められ、2004年3月期の決算から継続的に行われていたとみられる。

本件のニュースを知った瞬間の感想は、「やはりそうだったか」です。

本ブログでもIPO時に同社について取りあげています(個別研究もしておりました)。


【当Blog過去記事】
エフオーアイ (09/10/18)

久しぶりの「大手」以外の監査人(09/10/19)

IPO事例研究 エフオーアイ(09/10/25)
(当時頂いたコメントへの返答もご参照ください)


当時、かなりの「違和感」を感じたものの、軽はずみに「粉飾の可能性」などを書くべきではないと思いとどまったことが思い出されます。

今さらながら、読み返してみると以下の記載は、粉飾を隠すためのとっても苦しい言い訳だったということでしょうか。。。(IPO時の有価証券届出書「事業等のリスク」より)

(3) 財務に関するリスク

?売掛金回収期間の長期化

 当社グループが販売する製品は、設置される顧客の生産ラインにより「初号機」と「リピート機」に分 類できます。「初号機」は新設量産ライン向けの製品販売であり、当初、良品歩留率が数%からスタートし、目標歩留率を確保するまでのプロセス・インテグレーション期間が長期化することが一般的であります。また、「初号機」を販売する際の売掛金回収は、技術検収完了後の回収が標準であるため、設置完了基準による売上計上から売掛金回収まで概ね1年6ヶ月から2年6ヶ月の期間を要する傾向があります。これに対して、「リピート機」を販売する際の売掛金回収は、一般的に、出荷後60日程度で70〜80%の売掛金回収が可能となり、売上計上から売掛金全額の回収が6ヶ月程度で完了する傾向があります。

 当社グループは、独自の技術による製品を開発し、自社製品の販売を開始してからの期間も比較的短く、売上高の大半が「初号機」であるため、売掛金回収期間は次の表のとおり長期となっており、売掛金額が売上高に比べて多額であります。(「初号機」比率、「リピート機」比率は、当期における当社製品売上合計に対する各金額の割合を記載しております。)

主幹事証券会社(みずほインべスターズ証券)、監査人(桜友共同事務所)、取引所(東京証券取引所)に対する責任追及を求める声などがヤフーファイナンス掲示板や、2ちゃんねるでは出ています。


「さらなる上場審査の厳格化を」という機運が過度に高まることにならないかは心配です。


最後に、今回の捜査は、ロックアップ解除のタイミングを意識したとの報道もあり、また多数の投資会社が株主でしたので、同社の株主について触れておきたいと思います。

以下、目論見書の株式公開情報において株主として記載されている国内の金融機関・投資会社(VC等)です。
(手作業で集計していますので漏れ等あってもご容赦ください)
なお、ファンドの場合、ファンド名ではなく、GPを書いています。

ジャフコ、大和SMBCキャピタル、みずほキャピタル、りそなキャピタル、ニッセイ・キャピタル、朝日生命キャピタル、明治キャピタル、三井住友海上キャピタル、東洋キャピタル、安田企業投資、MUハンズオンキャピタル、エーシーベンチャーズ、NTTファイナンス、みずほ証券日興コーディアル証券、日本生命保険、SBIブロードバンドキャピタル、新規事業投資、新光インベストメント、TSUNAMI
など、錚々たる顔ぶれです。。。。