今年の会計士試験の合格発表が近づいていますが、
今年は昨年以上に、
「合格者(見込み)」 >>> 「監査法人採用予定」
という需給状況とされています。
試験に合格しても監査法人に就職できない人が多数発生してしまうことが不可避な状況だとの判断からか、
金融庁と公認会計士・監査審査会と日本公認会計士協会の連名で、こんなパンフレット(声明文)が出ています。
金融庁HP「公認会計士合格者と公認会計士の活動領域の拡大に向けて」
⇒http://www.fsa.go.jp/policy/kouninkaikeishi/kounin_goukaku.html
金融庁HP「上場企業等における会計専門家の育成・確保に向けて」
⇒http://www.fsa.go.jp/policy/kouninkaikeishi/zyouzyoukigyou.html
この内容ですが
・前者:「一般企業の方へ:どうぞ会計士試験合格者を採用してください。おねがいします。」
・後者:「受験生の方へ:どうぞ監査法人だけでなく一般企業への就職も視野に入れてくださ。おねがいします。」
というものです。
興味ある方は是非本文をお読み頂ければと思いますが、一般企業側のコメントや一般企業勤務の会計士のコメントを多数盛り込んでの必死の説得で、ちょっと痛々しく感じてしまう内容です。
ほんの数年前は、「会計士が足りない。もっと合格者を!」と大騒ぎしていたのに、今は「合格者が大量に出ても、もう採用できません」と会計士業界(監査法人)が悲鳴をあげている始末です。
(参考過去記事) 会計士試験合格者急増で会計士協会が悲鳴(?) (09/04/09)
会計士業界は、就職氷河期と就職バブルを周期的に繰り返しています。
受験生にとって気の毒なのは、
「進路として会計士を目指すことを決意」→「試験勉強」→「合格」の間に、2、3年程度のタイムラグがあり、その間に就職環境が激変してしまうことがあることです。
今年の受験生も、試験勉強開始時には「合格したのに監査法人には入れない」という状況は、想像していなかったのではないかと思います。
個人的には、やはり会計士資格を取ったのであれば、その先の進路は別にしても、まずは監査法人での経験を積んだ方がよいと思います(今の状況は見ていて心苦しいものがあります)。
周期的に・・・という話からすると、IPO業界も似た面があります。
「IPOが活況のときにIPO準備を開始」 → (数年後) → 「IPO準備が整った頃にはIPO氷河期に」
というのはよくある話です。
そのため、IPO環境が良い時に上場できるよう、その前(IPO環境が悪い時期)から上手くIPO準備をすることをオススメしています。