successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

すかいらーく 名ばかり管理職を是正

外食大手のすかいらーくが、外食大手のすかいらーくが、グループのファミリーレストラン店長ら約3300人を、管理職から外し、4月から残業代の支払いを始めていたことが、新聞等で報道されています(8月7日 日経新聞など)。

記事によると、
・すかいらーくは新たに導入した人事制度で、グループ各社の店長と本部の一部社員を管理監督者」から外した
・すかいらーく本体の社員に占める割合は、73%から6%に急低下
・月40時間分のみなし残業代に相当する業務手当を支給した上で、それを超える分を残業代として支払う・08年9月以降の残業については、さかのぼって残業代を支払う(支払総額は約15億円)
・昨年9月に厚生労働省が出した『通達』を踏まえて判断した
とのことです。
(『通達』については、本ブログでも公表時に紹介しています。
 過去記事:「名ばかり店長」問題に重要通達 (08/09/09) )


IPO準備会社さんにとっても、本件は注目記事ではないでしょうか。
昨今の上場審査では、労務コンプライアンス関係の確認がとてもしっかりと行われております。
未払の労働債務が存在していないかどうかについて、数年前とは比べものにならない質・量の質問が出てきます。
多くの会社さんは、この話題を出しても第一声は「我が社には関係ないこと、我が社は大丈夫」という反応です。が、その後に詳細な確認をしてみると、「法令・規則にあてはめると未払労働債務がある」となるケースはとても多いです(小売業に限りません)。
上場審査において厄介なのは、企業側も従業員側も本当に双方が納得・了承している場合(我が社は「年俸制」なので残業代の支給は一切ないとしているケースなど)でも、それを許してくれないところです。また、将来にわたっては制度改訂で対応したとしてもそれだけではダメで、過去分についても遡って支給を求められるケースが殆どです(労働債務の時効は2年間)。
そのため、IPO準備をされている会社さんで、労働コンプライアンスまわりの確認がまだ行われている会社さんは、早めの対応をおすすめいたします。



記事中に、「店長などに残業代を支払うようになった主な企業一覧」が出ていたので備忘のため記録しておきます。
・セブンイレブンジャパン(08年3月)
・AOKIホールディングス(08年5月)
日本マクドナルド(08年8月)
・ワタミ(09年4月)