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IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

重要な欠陥 「56社」はどんな会社なのか

3月決算会社のJ−SOX初年度の状況として、
重要な欠陥を公表した会社として56社と公表されています。
日経新聞集計(7月2日記事)によると、7月1日までにEDINET提出した2,672社のうち56社で約2%とのこと)。

興味がありましたので、この56社について調べてみました。

●市場別内訳
まず、56社の市場別内訳を調べてみました。
 ・東証1部 : 17社
 ・東証2部  : 3社
 ・大証2部 : 6社
 ・名証2部 : 1社
 ・ジャスダック : 21社
 ・ヘラクレス : 3社
 ・セントレックス : 3社
 ・Q-Board : 1社
 ・アンビシャス : 1社
(※ 手作業で集計しています、※ 複数市場上場企業は上位とされる市場のみに集計)

→ コメント
 最多はジャスダックの21社ですが、意外なのは東証1部が17社というところでしょうか。
 この2つだけで56社の約3分の2を占めています。


●上場時期別内訳
次に、各社の上場時期を調べてみました。
 ・〜89年  :  19社
 ・90年〜94年 : 12社
 ・95年〜99年 : 7社
 ・00年〜04年 : 12社
 ・05年〜    : 6社
(※ 手作業で集計しています、※ 市場変更している会社や持株会社に移行している会社があり必ずしも初めて上場企業となった時期とは限りません)
 なお、08年に新規上場した会社は、ゼロでした。上場した直後にいきなり「重要な欠陥あり」となる会社が出るのかどうか注目していましたが、さすがにそれは無かったようです。


→ コメント
 00年以後に上場した会社は18社であり、38社は99年以前に上場した会社です。


●上記2つの分析からの総括
 何となくですが、
 「2000年代」に「新興市場」に上場した会社
 から、「重要な欠陥」が多く出るのかなぁと思っていたのですが、
 実際には、
 「00年以前」に、本則市場に上場もしくは店頭登録した会社
 が多数派でした。
 「2000年以後に新興市場上場した会社の中に問題企業が多い」のようなことを聞くことも多いのですが、この集計結果からはそういう結論は見出せません。

 話は単純ではないのでしょうが、考えられることとしては、
 ・2000年以後に新興市場に上場した問題企業は既に多くが退出(倒産・上場廃止など)済みとなっている
 ・新興市場上場企業の中には、問題企業もあるが、全体としてはそこまで悪い管理体制ではない
 ・しっかりした会社とされる本則市場(東証1部など)の中にも管理体制がとても脆弱な会社が存在する
 ・東証1部上場など企業規模が大きく・事業展開や地域展開が多様化している会社は、J-SOX対応が難しい
 ・新興市場上場企業は、事業領域が狭く、また小規模組織であることが多いため比較的J-SOX対応がしやすい
 などでしょうか。
 あと、あえて変な見方をすると、
 ・J-SOXでの「重要な欠陥がある会社」と、「いわゆる問題企業」にはそもそも相関性が全く無い
 ということもありうるのでしょうか(別に、J-SOXは問題企業を明らかにする制度ではありませんが、相関性が全く無いとなると、J-SOXへの世の中の期待からすると、それはそれで問題な気が・・・・・・)


読者の方は、上記の分析結果をご覧になられて、いかがでお感じでしょうか?
感想・コメント等あれば是非お願いします。


次回は、番外編として「重要な欠陥」56社の監査人ランキングを予定しています。