successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

監査法人はIPO氷解?

監査法人のIPOに対する取組み姿勢(特に新規案件獲得)がこの最近かなり変わってきているように感じています。

思い出してみると、昨年あたりはどの監査法人も余程の有望ベンチャーでない限り、監査を要請してもいろいろな理由()を出して、『門前払い』となっていたケースが多かったのではないでしょうか。

の一例
・法人内の契約審査が厳しくなっており、契約できない
・既存クライアント(上場企業)のJ-SOX対応で手一杯
みすず監査法人(旧中央青山)の解散の影響で手一杯
 (同法人のクライアントが大量放出され、良好な上場企業クライアントを獲得できる状況ではIPOに取り組む意欲は薄い)
・新興市場上場企業(=しばらく前にIPOした企業)の会計不祥事が多く、IPOは監査リスクが大きい
・監査リスクが大きい割に、それに見合う監査報酬が得られにくい

ところが、今年になって(特にこの最近)、監査法人がIPO希望会社への対応にかなり前向きになってきているように感じます。
今年の2月に行われた「3監査法人共催フォーラム」も、大手監査法人がこれからはIPOに前向きに取り組むという姿勢表明の場でもありましたが、その時点では実際にはあまり前向き姿勢は感じられませんでした。

その後のこの数ヶ月を見ると、昨年あたりは
『殆どのお店がシャッターが閉まっており、一部の開店しているお店でも結構良さそうなお客さんが通りかかっても、店員さんと目が合うとシャッターを慌てて閉めていた商店街のお店』
だったのが、
『多くのお店はシャッターを半開き状態にして、少し良さそうなお客さんがふらっとお店を覗くと、自らシャッターを開けて、どうぞどうぞと店内に招き入れてくれる』
という状況にあるように映ります。

積極的といっても、あくまで超消極的状態との比較です(2000年頃の大公開時代の積極的とは全く違います)。

この変化の背景としては
上場企業のJ-SOX対応がひと段落した(する)
 (2年目以後の監査工数は従前の想定ほどの増加とならない見通し)
ことが大きいようです。
会計士試験の合格者増加に伴い、新人会計士を大量採用したこともあり、監査法人の業務キャパシティに余裕が出てきているということだと思います。

昨年あたりの監査法人のIPOへの超消極姿勢については私も強い問題意識を持っておりましたので、この姿勢変化はよいことだと思います。
IPO希望の元気な企業が出てきて、これから(3年後とかの)上場を目指そうと思っても、監査法人が付いてくれなければその土俵に乗ることもできませんので)

今年もIPO件数は相当な低水準になりそうですが、来年・再来年と少しずつ回復していってくれればと願います。