successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

IPO中止・延期企業の理由は87.6%が「株式市場の低迷」?

ニュース記事のご紹介です。

●Business Media 誠
上場を中断・延期した企業の87.6%、「株式市場の低迷」が理由
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news088.html

帝国データバンクIPO意向のある(あった)企業に対して行った調査レポートに関する記事です。
詳細は、本文をご参照頂きたいところですが、以下に一部引用です。


>上場を予定・希望する企業に上場したい時期を尋ねたところ、最も多かったのは「3年後」で15.7%。以下、「2年後」(11.3%)、「4年後」(8.6%)、「5年後以降」(6.5%)、「1年後」(4.8%)が続いた。

>上場予定・希望市場を聞くと、トップは「東証マザーズ」で36.3%。以下、「JASDAQ」(30.9%)、「大証ヘラクレス」(15.1%)、「東証2部」(7.1%)、「TOKYO AIM」(4.3%)、「JASDAQ NEO」(4.0%)が続いた。

>上場を目指す理由を尋ねたところ、トップは「知名度や信用度の向上」で 75.5 %。以下、「資金調達力の向上」(59.9%)、「人材の確保」(42.6 %)、「社内管理体制の強化」(23.3 %)、「従業員のモラル向上」(22.1 %)、「売り上げの拡大」(19.9%)が続いた。

>上場を予定・希望する企業のうち27.7%が「上場準備を中断もしくは上場時期を延期している」と回答、その理由を聞くと、最も多かったのは「株式市場の低迷」で87.6%。以下、「収益悪化による上場基準の未達」(48.7%)、「コストや手間の負担が経営を圧迫」(31.9%)、「内部体制の整備の困難」(17.2%)、「作業を手がける人材の確保の困難」(8.4%)が続いた。


この記事を読んだ感想ですが、
中断・延期の9割近い理由として「株式市場の低迷」が挙げられていますが、私は最大の原因は「収益悪化による上場基準の未達」の方なのではないかと考えています。

「収益は想定どおりに出ているが、株式市場が低迷しているので(株価が低いので)IPOを中止・延期した会社」と
「株式市場どうこうではなく、自社の収益が悪化してしまい、IPOを中止・延期した会社」を比較して、
前者の方が多いとはとても思えません(補足:アンケートは「複数回答可」で行われていますが)。

IPO計画が中止・延期となる場合において、原因がたった一つというのはあまりなく、業績、管理体制整備、株価など原因は複数あるケースのほうが多いように思えます。
企業(経営者)側の心理として、一番言いやすい原因が「株価も低迷しており今IPOしても・・・・」というだけなのではないでしょうか(社外に対しても、社内に対しても)。

確かに今は株式市況が冴えないので、IPOに適した時期とはとても言えません。
が、IPO準備には通常2、3年を要することを考えると、株式市況が回復してから「さぁIPOだ」と言っても、そこから更に2、3年経過してしまいます。
ですので、株式市況が悪い状況下においても、出来る範囲でIPO準備をやっておく(中止・延期になっている会社さんの場合は、完全にストップさせずに準備してきたところまでは水準を維持する)ことをオススメしています。