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IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

会計制度の整備について(その2 短期調査を受けてから、監査契約締結まで)

前回に続いて、会計制度の整備に関する話題です。



第二回:短期調査を受けてから、監査契約締結まで

監査法人による短期調査を受けて、上場に向けての主な課題を把握したら、上場に向けての各種の取り組みをしていくことになります。
(短期調査を受けた結果、「とても上場を目指せる状況ではない」ということになることもあります)

通常、上場の前の2事業年度(直前期、直前々期)について監査報告書が必要になりますので、その2事業年度分については監査契約を締結し、会計監査を受けることになります。
ただし、短期調査をした後ですぐに監査契約を締結することになるのはとても稀なケースです。
通常は、監査法人との間で、『アドバイザリー契約(コンサルティング契約)』のような契約を締結し、監査ではないけれども、会計制度の整備に関する指導・アドバイスを受けていくことになります。

ここで、気をつけなければいけないことがあります。
それは、この時点では、予定した時期に監査報告書がもらえる見通しがたっているわけでは全くないということです。

監査法人の指導も、多くの場合、「課題の指摘」や「改善の方向性についてのアドバイス」にとどまるもので、べったりと会社に来てくれて丁寧な指導をしてくれるケースは稀だと思います(契約金額としても、会計士が何日・何十日も会社に来るような金額を払うわけではないと思います)
いよいよ直前々期に入るので監査法人との契約を監査契約にしてもらおうと思ったところ、『監査契約は(今は)締結できない』とお断りされるケースが頻発しているようです。
「J-SOX対応など、忙しいので残念ながら受けられない」などという表向きの理由を言われることもあるようですが、多くの場合、監査契約を締結できない本当の理由は、会社が会計制度の整備にちゃんと取り組んでいないので、まだ会計監査を出来るような状況にはない ということのようです。

経営者の中には、経理部長さんなどに会計制度の整備や監査法人対応を任せっきりで、「監査法人と契約したんだから大丈夫なんだろう」、「ちょくちょく会計士が来ているのを見かけるので順調に対応してくれているようだ」と思い込んでしまっている方もいらっしゃるようです。
そして、いざ、監査契約への移行を希望するタイミングになったところで、「監査契約はできません」といわれてビックリされることも良く起こっているようです。
その時になって、「もっとしっかり対応していれば」と思っても後の祭りです。ビジネスがうまく立ち上がって業績面では上場の要件を満たせそうだったとしても、2事業年度分の監査報告書が出なければ上場スケジュールは延期となってしまいます。これは本当に残念なことです。
ですので、監査契約締結前の段階(この段階では直前々期に入る前ですので目標上場時期は3年以上先ですが)においても、会社(経営者)は、監査法人から指摘されている要改善事項について真剣に取り組んで頂く必要があるのです


次回は、第三回:監査契約締結後(上場に向けて)  を書きたいと思います。