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IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

「グリーンシート」はどこへ?(グリーンシート銘柄制度の検討に係る懇談会 報告書)

今回は。グリーンシート(GS)の話題です。
(私も、仕事においてGSには関わったことありませんが、IPOに類するものですのでご案内しておきます)

先月ですが、日本証券業協会から以下の報告書が出ています。
「グリーンシート銘柄制度の検討に係る懇談会」報告書(日本証券業協会HP)

この懇談会も、従前からご紹介している「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」への取組みの一環です。
本年5月のこの記事にて、「来月にも「グリーンシートの抜本的見直し」について報告がでるということですので注目していたいと思います。」とコメントしていたものです。

報告書には、まずGSの現状が書かれており、その上で今後の方向性についての議論が書かれています。
現状について以下でご紹介しておきます(以下、本報告書より引用)。

GS制度の現状については、以下のような状況が確認される。

? 新規に指定される銘柄数が減少しており、かつ、同銘柄数より指定を取消される銘柄数が上回っている状態が継続しているため、指定銘柄数も減少している。

(直近3年間の新規指定銘柄数:21 銘柄、指定取消銘柄数:47 銘柄、平成23 年末時点の指定銘柄数:49 銘柄)

? GS銘柄に指定されている期間が1年にも満たない3発行会社が散見され、その中には募集等を一度も行わない事例もある。

(直近3年間の新規指定21 銘柄のうち、平成23 年末時点で指定取消となった銘柄数:13 銘柄

(うち、指定期間が1年未満の銘柄数:9銘柄)

? 上場会社と比較して募集金額が少額にも関わらず、調達できた金額が同募集金額の半分にも満たない事例が多数見られ、十分な資金調達ができていない

(直近3年間の新規指定銘柄のうち、募集を行った14 銘柄による計50 回の募集の、平均募集金額:約7,400 万円、平均調達金額:約1,300 万円(充足率:17)調達金額が募集金額の半分に満たなかった銘柄数(募集回数)10 銘柄(43 )

? 全体の売買代金及び売買高が僅少かつ減少し続けている点や、一部を除き、その指定期間中に売買のあった日数が1桁台の銘柄が大半である点を踏まえると、流通(換金)性は低い

(直近3年間における、売買代金:約18.6 億円(平成21 年:約15.6 億円、平成22 年:約2.0 億円、平成23 年:約1.0 億円)

高:約1,781 万株(平成21 年:約589 万株、平成22 年:約771 万株、平成23 年:約420 万株)

直近3年間の新規指定21 銘柄のうち売買が1回も行われていない銘柄数:14 銘柄)


?
GS銘柄を取扱う証券会社は少数でありかつ減少し続けている。

(GS銘柄を取扱う証券会社数、平成20 年末時点:14 社、平成23 年末時点:10 社)


?
所謂新興市場等へ上場した発行会社の数は11 銘柄であり、GS制度創設時から現在ま
での指定銘柄数(210 銘柄)と比較すると少数(5.2%)である。

今後については、「新たな枠組みの方向性」というものが示されていますが、よくわかりませんでした。
また、GSでは、以下のようなトラブルが度々起きていますが、そこには触れられていませんでした。
グリーンシートで大不祥事(日本ティーエムアイ)(12/01/18)



【参考過去記事】

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」の進捗状況について (日本証券業協会)(12/05/25)

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」が公表されています(11/06/24)

日証協「新興市場等の信頼性回復・活性化策に係る協議会」の検討状況(11/05/23)