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IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

IPO前から粉飾していた「プロデュース」 株主が監査法人を提訴

先週のニュースですが、プロデュース(05年12月ジャスダック上場、08年12月上場廃止)の粉飾決算について、同社の株主が、当時の監査法人と監査役を相手取り、訴訟を起こしたそうです。

プロデュース粉飾 株主ら賠償求め監査法人を提訴(Nikkei Web版)

以下は、ニュース記事より引用です。

同社が上場廃止となり損害を被ったとして、同社の株主らが16日までに、監査法人と当時の監査役2人を相手取り、約7億2300万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴えたのは個人225人と法人4社。・・・・・取得価格と売却価格の差額分が損害に当たるとしている。

 ・・・・原告側は「適切に監査を行っていれば、粉飾決算は上場(05年12月)前に発見された」としている。

 ・・・・当時の同社社長が証券取引法(現金融商品取引法)違反罪で実刑が確定。会計監査をしていた公認会計士はさいたま地裁で公判が続いている。

ちなみに、被告は、東陽監査法人です。
(プロデュースの上場時の会計監査は、「東都」監査法人でしたが、同法人は06年10月に「東陽」監査法人と合併しています)


原告側について、以下のウェブサイトを発見しました。
プロデュース株主の会
原告側が、監査法人を狙い撃ちした理由が、Q&Aのページに書かれていました。

Q 今回の裁判の対象が、監査法人に限定されているのはどうしてですか。
証券会社、JASDAQ、役員は対象にしないのでしょうか?

A まず、監査法人に限定した理由として、対象監査法人は有限責任監査法人ではなく、無限連帯責任社員がおり、個人責任まで追及できることや、対象監査法人は業界5位の業績の中大手監査法人であること、監査法人は責任賠償保険に入っていると考えられることなどから、支払能力は確実であること、また、佐藤社長の裁判において、石井会計士が佐藤社長と共謀して粉飾を行っているとの判決が確定していることから、不法行為責任が成立する可能性が高いこと、から、損害の回復という点から、監査法人のみを被告とすることで十分であると考えられるからです。
 他方、JASDAQ及び証券会社の違法行為を認定する証拠は現時点で誰も把握していないことから、JASDAQ及び証券会社の違法行為の立証に極めて困難を伴い、解決するのに時間がかかると考えられます。また、役員に関しては自己破産をすでにしている者が多く、支払能力が不確実です。
 したがって、上記の理由から監査法人に限定して裁判を行うこととしました。

経営陣よりも支払能力が確実ということもあり、短期決着を狙って監査法人に限定したとのことです。
これは会計士業界としては、改めて注目せざるを得ない事件です。
なお、「監査法人に限定」という表現もあるものの、「監査役2名」も被告になっています。
IPO準備会社の監査役というのにも、相応のリスクがあるという点でも要注目です。


【参考過去記事】

プロデュース元社長がNHKニュースウォッチ9で証言(10/07/11)

プロデュース前社長が逮捕(09/03/07)

プロデュース(JQ、6263)が循環取引で強制捜査(08/09/23)