successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

10年10月 IPOセミナー 【第12回】 3.(2)労務コンプライアンス問題

第12回です(全12回、昨年10月に行った研修会の内容の抜粋です)。 これで本コーナーも終了です。


3.IPO審査における最近のトピック
(2)労務コンプライアンス問題
労務コンプライアンス問題について、
証券会社・取引所とも極めて慎重



【 背景 】

社会全般において、労務コンプライアンス関連の係争・トラブル事件が増加している

・「名ばかり管理職」問題 (ファストフード、コンビニ等で社会問題化)
・ 未払残業手当(サービス残業
・「偽装請負」問題
・ 労働者保護に向けた各種の法・制度改正(派遣法改正等)
労働基準監督署による調査の強化(是正勧告・指導等)

          ↓ ↓ ↓

 労務コンプライアンス関連の審査の厳格化



【 主な審査ポイント】

管理監督者の範囲
・社会保険加入の範囲(パート・アルバイト含む)
サービス残業の有無(労働債務は、時効2年間)
・労働時間の管理状況(管理職であっても時間管理及び深夜・休日割増手当の支給は必要)
労基署からの調査の有無(是正勧告などがある場合対応状況)
・労使間のトラブルの有無(退職率、退職者の退職理由等)

労務コンプライアンス問題については、審査質問での個別的な確認も行われますが、?の部などの「申請書類」においてもそれを説明することが求められています(以下ご参照)。

1010セミナー 3(2)労務

未払賃金がないことというだけでなく、「三六協定の上限を超えた時間外労働」などについても細かく見られます。
上場準備会社は、多くの場合、伸び盛りの会社ですので、残業時間がかなり長い従業員が相当な人数いるケースも少なくありません。
適切に時間外の割増賃金を支給していたとしてもそれだけではダメで、昨今の「IPO審査」においては、健康管理面等からこの状況を是正することがにおいて求められています。
これでも、一時よりは審査が柔軟になった(暫く前は、いま以上に超キビしかった)とも言われますが、とても厳しいご時世です。


【参考過去記事】
 人事・労務まわりの各種課題について (2008年04月08日)



【IPOセミナー(全12回)】

1.昨今のIPOの動向について
  (1)IPO社数の推移と各種の事件 (11年1月5日更新)
  (2)(主幹事)証券会社の動向 (11年1月7日更新)
  (3)監査法人の動向 (11年1月18日更新)
  (4)IPOに関連する法・制度改正(11年1月23日更新)

2.上場準備の進め方、留意事項
  (1)標準的なIPO準備スケジュール(11年1月26日更新)
  (2)IPO準備の現場の実情(11年1月27日更新)
  (3)IPO準備の特徴・難しさ(11年3月24日更新)
  (4)IPO準備で関わる各種関係者(11年3月27日更新)
  (5)上手にIPO準備を進めるには (11年4月11日更新)
  (6)IPO準備プロジェクトチームについて (11年7月31日更新)

3.IPO審査における最近のトピック
  (1)反社会的勢力対応(11年8月2日更新)
  (2)労務コンプライアンス問題(11年8月7日更新)