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経団連は、「我が国の開示制度」にかなりのご不満?

日本経団連から、
財務報告に関わるわが国開示制度の見直しについて
という意見書が出ていますのでご紹介します(枠内は意見書より引用)。

一方、わが国の開示制度を巡っては、ディスクロージャーの信頼性確保に係る社会的要請が高まる中、内部統制報告制度や四半期報告制度が導入されるなど、上場企業の財務報告に係るコストは上昇の一途を辿っている。また、IFRSが強制適用となった際には、注記事項なども含め、開示実務に大きな影響が及ぶことも予想される。各国の制度と比較しても、わが国の開示制度は過剰であると考えられ、IFRS導入に向けた環境整備の観点から、開示制度全般に対する抜本的見直しを実施する必要がある

1.取引所における適時開示制度
 (中略)
また、業績予想開示については、わが国では既に四半期決算短信や四半期報告に基づくタイムリーな実績情報の開示がなされていることから、従来のような有用性はなくなっている。業績予想開示の今日的意義とそのための実務負荷を総合的に勘案し、廃止あるいは完全な自主開示化および決算短信の様式の見直しを検討すべきである。

2.金融商品取引法上の法定開示
<個別財務諸表>
 (中略)
国際的な整合性の観点も踏まえ、連結財務諸表にIFRSを強制適用する際の金融商品取引法上の発行市場・流通市場における個別財務諸表の開示は、廃止も含め抜本的に簡素化することが必要である。

<四半期報告制度>
 (中略)
検討に際しては、四半期決算短信の内容と極力統一し、四半期報告の負荷を大幅に削減するような抜本的な方策についても検討すべきである。特に、第1四半期および第3四半期については、国際的な整合性の観点からも、一段と踏み込んだ簡素化が必須である。
 (中略)

<その他>
なお、臨時報告についても、取引所における適時開示との役割分担を含め、提出要件の整理や数値基準の見直しを行うべきである。

3.内部統制報告制度
 (中略)
諸外国の制度を勘案すれば、経営者評価に対する検証を行わないなど、財務諸表監査に加えて、内部統制監査を実施することをそもそも不要とするような制度設計も考えられるところであるが、まずは、現行制度において、内部統制監査のあり方につき、レビュー方式の採用の可能性も含め、コスト削減の程度も検討しつつ、今一度の整理が必要である。
 (略)


詳細は、ぜひ意見書の原文をお読みください。
経済界からの意見は、どこまで取り入れられるのでしょうか・・・・・


この意見書の冒頭でも触れられている、「政府が2010年6月18日に公表した「新成長戦略」」についてもご紹介しておきます。
「新成長戦略」について (官邸ウェブサイトより)

3章(7)金融戦略 において、

中堅・中小企業に係る会計基準・内部統制報告制度等の見直し、四半期報告の大幅簡素化など、所要の改革を2010 年中に行う。
と書かれています。

良い方向に見直しが進んでいくことを期待します!