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J-SOX2年目は、「重要な欠陥」は22社!

10年3月期の内部統制報告書・内部統制監査報告書が出そろったところでの、ニュースです。
J-SOX2年目に22社が「重要な欠陥」を開示、昨年度に比べ半減(Nikkei ITPro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100706/349970/

J-SOX初年度は、56社だった「重要な欠陥」が22社に半減したとの記事です。
なお、
「2年連続重要な欠陥を開示した、あるいは1年目は意見不表明で今年重要な欠陥を開示した企業は10社あった」
とのことです。

この、「22社に半減した」ということが何を意味するのかはとても難しい気がします。
記事中に、「主原因としてもっとも多かったのは、監査人の指摘などにより有価証券報告書などの訂正をした企業だ」
ともありますが、結局はJ-SOXを制度化しても事が起こった後でしか機能しないということではないかと改めて考えさせられます。
不適切な開示・会計処理が発覚すると、その翌年に「重要な欠陥がありました」と開示がなされます。
が、それでは、当時の内部統制報告書はどうなっていたか?というと、発覚前までは実際には事は起きていても「内部統制は有効」とされているわけです。
全てのケースでこうなっているというわけでもなく、また、中にはJ-SOX制度化のお陰で発覚した不正などもあるのでしょうが、J-SOX制度が、企業の実務にかなりの負担をかけている割には、それに見合う効果が出ているかという点では疑問があります(効果が出ている・出ていないという議論だけをすれば、おそらく「一定の効果が出ている」となるのでしょうが、費用等の負担との見合いで考えると難しいお話なのだろうと思います)。



【参考過去記事】

重要な欠陥 「56社」はどんな会社なのか(09/07/05)

重要な欠陥 「56社」はどんな会社なのか(番外編 - 監査法人)(09/07/06)

重要な欠陥 「56社」はどんな会社なのか (金融庁より)(09/07/11)