successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

こちらもIPO前から粉飾!(シニアコミュニケーション)

先日のエフオーアイのように社会的な騒動にはなっていないのですが、また衝撃的なニュースです。

マザーズ上場企業のシニアコミュニケーション(05年12月上場)は、IPO前から悪質な粉飾決算をやっていたそうです。

大注目の報告書が出ています。
外部調査委員会による調査報告書のご報告について

同社は、05/3期基準で上場していますが、05/3期の売上高は643百万円としていたものが、実は386百万円だったとのこと。
複数年にわたって粉飾に粉飾を重ねており、その累積額は2,246百万円です。(報告書 2ページ)

報告書は25ページにわたる大作で、とても読みごたえがあります。
ぜひ、原文に当たっていただきたいと思いますが、一部のみご紹介します。

以下報告書6ページより

当社は、平成17 年1 月、主幹事会社をHS証券からみずほインベスターズ証券に変更した。上場準備は、馬谷氏及び同人の部下であったX氏によって進められたが、それに合わせて、馬谷氏は、X氏に対し、架空売上の計上を含む不正会計処理に協力するよう指示した。
具体的には、売上の前倒し計上(進行基準表の作成)、途中で頓挫・減額された案件や売上計上後入金されない案件のATMからの入金填補処理、監査法人への説明会計証憑(発注書、検収書等)の偽造、残高確認書に関する処理(郵便局への回収、残高確認状のポスト投函)などの、犯罪行為を含む不正行為に協力するよう指示した。

・株式売却益による滞留売掛金入金填補(報告書 7ページ)
 粉飾を重ねた結果行き詰まり、役員の個人資金(株式売却益)を入金して補てん!

・給与の架空計上による資金の還流(報告書 8ページ)
 上記の補てん資金の不足を補うために、既に退職した社員の名義を使い、架空の給与を第三者口座に送金!

・ソフトウェアの架空計上による資金の還流(報告書 8ページ)
 さらに補てん資金の不足を補うため、請求書偽造によるソフトウェアの購入費用の架空計上!

・MBO断念(報告書 8ページ)
 架空計上の隠蔽のための一つの手法としてMBOを検討したものの、ファイナンスがつかず断念!

・売上計上基準がそもそもNG(報告書 16ページ前後)
 同社は、工事進行基準によって売上計上を行っていたが、「進行基準を適用するに足る前提条件が存在しなかった」!

・不正送金による滞留売掛金入金填補(報告書 17ページ〜)
 粉飾売掛金を、長期滞留売掛金として問題視されないようATM経由や架空口座経由で当社口座に資金注入!

・残高確認の監査手続に対する犯罪行為(報告書 19ページ〜)
 作成ミスとして取引先から確認状を取り戻したり、会計士が確認状をポスト投函する際に尾行し、郵便局集配係が来るまで待ち伏せ確認状を回収するなどして、監査法人の残高確認手続きを無力化!

「ここまでやるか!」と思う徹底ぶりです。

同社は、東証から監理銘柄(審査中)指定及び監理銘柄(確認中)に指定されています。


本件が、エフオーアイと似ているのは、IPO前からの粉飾(IPOのための粉飾)」ということに加え、
・市場は、東証マザーズ
・監査人は、小規模事務所(IPO時の監査人は新創監査法人、その後交代あり)
・主幹事証券は、みずほインベスターズ証券
ということでしょうか。。。。


エフオーアイも、本報告書のような詳細な事実解明がなされたらぜひ読みたいものです。