successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

なぜIPO準備は上手くすすまないのか? の続き の続き

先日の記事の続きです。

前回、いかにIPO準備を「上手に出来るか」がポイントと書きました。


「上場準備は、上手に進めましょう」と言うのは簡単です。
社内でもそのような話題になるでしょうし、社外の関係者(株主、証券会社、監査法人など)も、口を揃えてそう言うでしょう。
ただ、具体的にそれを実行しようとすると、???となってしまうケースが多いのではないでしょうか。

・社長を含め、社内の人材は、その殆どが上場準備作業は、初めての経験。
・上場準備における取組みは、経営面に大きな影響を与えるものが多く、社外関係者からのアドバイスを意味もわからず「何でも即実行」というわけにはいかない。
 (同時期に、外部の関係者(複数)から異なるアドバイスを受けて戸惑うケースも多いようです)
・社外から良く出るアドバイスとして、「即戦力(経験者)の採用を」というのがあるが、それなりの要職を社外から採用することは、経営上簡単なことではない(社内の人事バランスへの悪影響を心配・良い人材の選考方法がわからないなど)。
 (「社外から強く言われたので経験者を高い報酬で採用したのに・・・・(上手くいっていない)」という話もよく聞きます)


うまく行かないケースばかり書いていますと、「じゃあどうすればいいんだ!」となってしまいますが、
まず大切なこととしては、
?ベンチャー企業の場合には、社長さんがそれなりに上場準備作業に深く関与すること
?信頼できる社外関係者からのアドバイスにしっかり耳を傾けること

あたりでしょうか。

?について
 社長さんが実務作業に加わる必要はありませんが、上場準備の各種の取組みは、殆ど全てが会社の経営(経営方針・業績・人事政策など)に深く関係しています。
この、経営方針・業績・人事政策などに最も関心をも持っているのは社長さんであり、また上手く行かなかった場合に最も困るのは社長さんです。
 そんな大事なことを他人任せにしてしまうことはオススメできません。
ありがちな、(Q)上手く行っているか? (A)順調に進んでいます という進捗管理では不十分です。
 私は、ベンチャー企業の上場準備の場合には、社長さんに「当社にはどのような課題があり、どの課題をいつまでにどういう状況にしなければいけないのか」をしっかり把握・理解して頂く必要があるものと考えています。
 もし社長さんが「難しくてよく分からない」と思うことがあるとしたら、その事実だけをもって、その会社さんの上場準備作業は「黄色信号」が灯っていることを意味していると思います。
 上場準備を行うレベルまで企業を成長させてきた人物(社長さん)が「分からない」話があるとしたら、多くの場合、説明をする側に何らかの問題があると思います。課題をしっかり理解しており、十分なコミュニケーション力があれば、「簡単にまとめると当社のこの点がこういう理由で問題だとされており、いつまでにこうしないといけないんですよ」といえるはずです。
 課題について正しく理解できていなければ、当然に正しい方向には向かいません。また、理解は出来ていてもコミュニケーション力が足りなければ、社外の各種関係者との折衝が上手くいかないでしょうし、それ以前に上場準備プロジェクトとして社内を上手く動かすことも出来ていないかもしれません。
 それと、社長と社外関係者とのコミュニケーションでも同じことがいえます。時として、社外関係者は、専門用語を用いた難しめの会話をしてきます(そちらサイドのコミュニケーション力に問題がある場合もあるのですが・・・)。意味が分からない話をされた場合には、「もう少し分かりやすく説明してもらえないか」と言えばよいと思います(そのままにしておくと理解したものとされてしまいます)。
 上場準備会社の社長さんの殆どは、営業面(ビジネスを成長させること・安定させること等)が最大の関心事であり、なるべくこれに注力したいと考えています。が、そのためにも、中途半端なひと任せではなく、状況をしっかり把握した上で、任せられる人物に任せる(そして社長はビジネスに注力)という進め方がよいのだろうと私は考えています。

?について
 やはり社外からのアドバイスには、耳を傾けた方がよいと思います。
当然のことですが、上場準備の実務については、株主、証券会社、監査法人などの社外関係者に一日の長があります。
ただし、「間違ったアドバイス」や「その相手先にとってだけ都合のいいアドバイス」というのに流されるのは避けたいところです。これは、どの組織(企業)からのアドバイスに乗るべきという話ではなく、担当者(や責任者)との信頼感の大小で判断すべきところかと思います。


これで、このシリーズ(全3回)は終わりです。
日頃思っていることを取り留めなく書いてしまってので、上手くまとまっていませんが、参考にして頂けることあれば幸いです。


【参考過去記事】
なぜIPO準備は上手くすすまないのか? (10/01/28)

なぜIPO準備は上手くすすまないのか? の続き (10/02/07)