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東証 「上場制度整備の実行計画2009」を発表

東証HPの社長記者会見のページに、
上場制度整備の実行計画2009 が公表されています。
http://www.tse.or.jp/about/press/090929s.pdf

合わせて、要旨として社長の記者会見要旨も出ています。
http://www.tse.or.jp/about/press/090929.pdf


内容としては、「コーポレートガバナンス」と「適時開示」について見直しを図っていくとするものです。

コーポレートガバナンスについては、「独立役員の選任を求める」ことや、「あらためて子会社上場のあり方を検討する」などが挙げられています。

適時開示については、
・四半期の適時開示について、効率的で効果的な実務に配慮した見直しを検討する。
・新規上場審査においてもIFRSの任意適用が可能となるよう、任意適用を認める範囲及び上場審査基準等について所要の対応を検討する。
などが書かれていました。

記者会見要旨を見ると、斉藤社長の四半期開示の見直し検討に関わる発言は面白いです。

(以下引用です。下線は私が付しました。)

 ただ、世界で四半期決算を導入している先進国は日本とアメリカだけです。ヨーロッパにはない。では、ヨーロッパでは株主に対する情報が少ないかというと、そんなことはないわけです。これは物の本に書いてあった話なので本当かどうか分かりませんが、カルパースの運用者に四半期報告が必要かと尋ねたら、年2回あれば十分だ、四半期でもらっても分析が大変だ、あまり意味がないという答えがあったようです

 四半期になれば透明性が上がり、年に2回だと透明性に欠けるのか。現実に四半期ごとの利益競争をやって、それをベースにストック・オプションの価格を決める。エンロンがその最たるものでしたが、粉飾でも四半期の数字を上げると株価が上がる。そして、ストック・オプションを行使して、何億円と儲けていたわけです。そういうことがやりやすい仕組みであることが本当に株主のためになるのか

四半期開示を導入するにあたっては、「株主(投資家)はタイムリーな決算情報を欲しており、それに応えるために四半期で決算情報を開示する」という流れだったはずなのに、その論拠が破たんしてしまっているようにも見えます。

あと、個人的には、「検討を継続する事項」として将来に向けての検討課題という位置づけながら、以下の項目に注目しておきたいと思います。

(以下引用です。下線は私が付しました。)

新興企業のように企業規模の小さい会社における負担が過重ではないかとの指摘を踏まえ、会社組織の整備状況や事業規模等を考慮した四半期開示や内部統制の実務のあり方について検討を行う。

興味ある方は是非、「実行計画2009」や「記者会見要旨」の本文をお読み下さい。
(最近ホットなIFRS関連についても検討されています)