successIPO (IPO準備会社を応援するブログ)

IPOコンサルタントをしている公認会計士が、IPOを目指している(又はこれから目指す)企業さんやIPO業界関係者の方にとって参考になる情報を提供していきます。

米国は、中小企業のSOX導入を延期

Nikkei.netによると、
「6月20日に、米証券取引委員会(SEC)は、中小企業に対する内部統制規則の適用で、外部監査法人による点検の義務付けを1年延ばすと発表した。
適用を遅らせる対象は株式の時価総額が7500万ドル未満の企業。
延期は5度目で、導入は2009年12月以降になる。」
とのことです。

Nikkei.netのニュース記事 (← ニュースサイトですのでいつまで閲覧可能かわかりません)


米国SOXについては殆ど知りませんが、「延期は5度目」はオドロキです。
わが国では、内部統制報告制度(J-SOX)が、企業規模の大小にかかわらず、今年の4月以後開始事業年度から制度がスタートしています。
J-SOXは、「米国SOXより柔軟に設計されており、企業規模に関係なく一律に適用開始する」というのが当局の考えらしいですが、1年後に出る09年3月期の有価証券報告書においてどのような内部統制報告書・内部統制監査報告書が出ることになるのか未だもってかなり不透明な状況のように感じています。
最後の最後になって、やっぱり延期ってことにはならないのでしょうか。


あと、上場準備会社さんのJ-SOX対応も混乱があるようです。
これからは、上場後はじめて提出する有価証券報告書から「内部統制報告書」・「内部統制監査報告書」が必要になります。
上場審査の立場からは、その会社さんが上場した直後に「内部統制報告書」に重要な欠陥があると書かれたり、「内部統制監査報告書」に無限定適正意見が出ないという状況は避けたいと考えるはずですので、上場審査においてもJ-SOX対応について相応の確認をすると思います。
が、上場審査を受けるタイミングにおいて、「J-SOXについてもう準備は整っている」というところまで整備するのは大変だと思います。
現時点の上場審査では、「もう整っている」ところまでは要求されていないようですが、J-SOXの実務が定着した後はどうなるのでしょうか。
既上場の企業については、金融庁は、『初回から完璧を求めているわけではない。「重要な欠陥」があるとなったとしてもそれを開示した上で、解決するように取り組んでいけばよい。』のようなことを発信されているようですが、新規上場にこの考え方を当てはめてよいのかというとよくわかりません。
(現時点では、「新規上場について重要な欠陥があってもいいですよ」という話はまったく聞こえてきません)
新規上場のJ-SOXをどのように考えるかについても、金融庁もしくは証券取引所から見解(指針?)を出す時期に来ているようにも思えます(ご存知の方いらしゃいましたら是非教えてください)。